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2005年7月30日 (土)

【バックナンバー】ニュースレター第69号 2005年5月1日発行 アジアシルクロード音楽フェスティバルに向け「大地の響き」始動

ユーラシアンクラブニュースレター第69号 2005年5月1日発行


~ アジアシルクロード音楽フェスティバルに向け「大地の響き」始動 ~大野 遼

10月11日公演に向け、月一回の練習日で多彩で奥深い公演を

 

    「月1回の練習日」-。昨年のアジアシルクロード音楽フェスティバルの出演者から上がった積極的発言を契機に、さらにすばらしい舞台をつくるための場が生れた。昨年の出演者の何人かは変更の予定だが、これまでの演奏レベルをさらに引き上げ、拡充し、さらに高い評価を得られる公演を実現したいと思っている。「大地の響き」の柱と頼む馬頭琴のライハスローさんは、精力的にオリジナル曲を制作し、姫神とのコンサートを始め全国各地で多くの公演予定が目白押しで、演奏の評価もさらに高くなっている。昨年大地の響きにデビューしたホーミーの梅木秀徳は、3月から1ヶ月余り、モンゴルでホーミーの奥義をさらに窮め、自信を深めての帰国。秋の公演が楽しみになりました。

    アジア・シルクロードの楽器群もさらに多彩で奥深いものになる見込みです。胸を張って、多くの人に聞いてもらいたい、普及したい公演になると確信しています。オリンピック記念青少年センターでその試みは動き出そうとしており、恐らく、少しずつ広がっていくだろうと思う。公演の内容に自信と、さらに水準の高い公演を実現しようという意欲が合体した試みである「練習日」の誕生に、私もかけてみることにした。3月31日付で、あしかけ10年ほど務めてきた文化芸術のアドバイザーを辞めて、この1日から地域の文化会館に、彼らの優れた演奏機会を普及するための営業を始めた。この秋には、東京で10月11日が「大地の響き」公演、12日が「アジアアンサンブル」の公演と二日間、南会津で三日間のフェスティバルが行われ、九州ではミュージックキャラバンが展開される予定だ。東京でも、常時彼らの演奏を聴いてもらえる拠点を確保するため努力している。

    また東京で開催されるアジアシルクロード音楽フェスティバルのために、日本芸術文化振興基金の助成が内定した。中国琵琶の天才アーチスト・シズカ楊静、ヤクーツクのハトラーエフ夫妻、ウズベキスタン・ブハラのギジャック演奏者イスマトフも含め、特別招聘アーチストも参加する。計4人のアーティストを招聘するためには多くの経費が嵩む。近くチラシも完成する。多くの方にチケットを購入していただき、赤字のないようにしたいと思います。

     アジアシルクロード音楽フェスティバルに出演するアーティストを支える「フェスティバル友の会」を募集します。毎月一回の練習日やフェスティバルの成功のために、また日常的にミニ・コンサートや音楽教室を開催して、アーティストの暮らしを支えるために協力してくれる方を求めます。クラブでもさまざまな楽器の音楽教室を開きたいと考えています。東京での音楽文化の拠点となる"アジアシルクロード文化サライ"の設置にもご協力ください。


~~ 新年度の活動の方向について ~~ 大野 遼

    4月に入り、私の暮らしも、クラブの活動も一新、今後三本立てで活動します。今年度の活動の方向は下記の通りです。

    Ⅰアジアシルクロード音楽フェスティバル推進のため「ミュージックキャラバン友の会」募集します。 今秋は、会津で三日間、東京で二日間のフェスティバル、九州で、ミュージックキャラバンを実施し、アジアシルクロードと日本のかかわり、諸民族の理解促進と音楽普及のため活動します。アーチストをサポートするため、以上の事業を実施に協力いただくだけでなく、下記のような方向で活動を予定しています。ミニコンサートやさまざまな民族楽器の音楽教室の開設を工夫していただける方を募集します。 ①月一回オリンピック記念青少年センターでアーチストの練習 ②新宿のクラブ会議室で、さまざまな楽器の「シルクロードの楽器教室」 ③開設を模索している"アジアシルクロード文化サライ"

    Ⅱユーラシアンフォーラム「大地の学校」フォーラム会員募集 国家民族宗教を超えて理解を図ろうという立場から ①人類と地球を救う可能性を秘めた循環型エネルギーの情報提供 ②アジアの今を考える ③シリーズ"人"-さまざまな民族の人たちから自由に語ってもらい、理解を促進するために意見を交換するといった三つの視点からフォーラムを実施します。

    またこのフォーラムに関連して下記のような募集事業も行います。 ①ボイスオブユーラシアのネットワーカー募集:現在準備中の新ホームページの掲示板への情報提供等、積極的にご協力いただける方を募集します。 ②言語文化塾の熟生募集 ウイグル言語文化塾:ユーラシアのトルコ系言語と文化への入り口言語として最適。またアラブ系の言語と文化へのアクセスにも有効。 ボルドーさんのモンゴル語文化塾:前モンゴル民族文化基金理事長、和光大学非常勤講師のモンゴル言語文化塾。 ③「大地の学校」現地視察ツアー/燃料電池や循環型エネルギー導入の現場を視察し、今後のエネルギー革命の方向を多角的に考えます。

    Ⅲ その他、昨年来模索している農業センターについても年内にはめどをつけたいと考えています。ロシア極東地域との交流、中央アジア等との交流もこの方向で組み立てなおしをしたい考えです。ご理解ご支援よろしくお願いします。


エネルギー革命の時代に希望を~ 「ユーラシア大地の学校」開設に向けて 第十一回

別海町訪問報告(3)資源循環プロジェクト参加農家訪問=地域自立型エネルギー社会への鼓動  若林一平

    2月1日の午後3時30分、バイオプラント、水素プラント、の見学に続いて、農家の訪問に出発だ。別海農協の営農部の次長さんが車で案内してくれる。

    別海町は香川県にも迫る面積に人口は1万7千人であるのに対して乳用牛の飼養頭数が11万頭を超える、まさに全国一の酪農王国である。資源循環プロ ジェクトに参加しているのは10戸の農家で乳牛は1,000頭規模である。これら参加農家からの乳牛の糞尿がプラントの受入施設に運ばれ、農家はプラン トで生成した「無害無臭化された」消化液を牧草用の肥料として受け取る。この日訪問したのは一般農家1戸とリーダー農家1戸、計2戸である。

    最初に訪ねたSさんはちょうど牛舎で100頭ほどの乳牛の世話をしているところであった。Sさんの話を聞いて驚いたのだが、「放牧」という概念は最早 無くて年中牛舎の中で乳牛は飼われているとのこと。だから牧場は「畑」と呼ばれているのだ。最適に配合された飼料により、効率よく「牛乳生産」を行うた めの方法なのである。Sさんの牛舎は「フリーストール」と呼ばれる方式で、乳牛の糞尿は「しきワラ」と混合する「スタンチョン」方式と異なりそれ自体と して直接回収されるので、メタン発酵にはより適しているのである。ちょうど牛舎の床面の排泄物をパワーショベルですり取っていくように回収する作業現場 を見学することができた。乳牛たちを片側半分に集めて、もう片側半分の床面には乳牛が一頭もいない状態で手際よく作業は進む。

    同行したムンクデルゲルさんのリクエストで搾乳現場を見学することになった。搾乳室は完全に機械化されており、絞りたての牛乳が衛生管理されたパイプ システムを通して金属製タンク内に貯蔵されていく。 次に訪ねたIさんは参加農家のリーダーである。バイオプラントに関してその効果を三つに整理してくれた。第一は生活環境への効果である。消化液は異臭 が無くて助かっている。第二は牧場の土壌への効果である。11万頭を超える乳牛からの糞尿は既に自然の処理能力を超えている。自然のままの糞尿は土壌中 で有害な「硝酸体」の発生源になって問題化しており、地元河川の汚染源にもなっているとのこと。プラントでの消化液の生成はこれらの解決に道を開くもの である。第三は言うまでもなく消化液が肥料として役立っていることである。

     最後にIさんは資源循環から地域自立型エネルギー社会にむけての抱負を語ってくれた。現在はプラント内で消費されている回収エネルギーを有効利用する ためには、プラントの周りに牛舎と農家が集まるべき。そうすれば資源循環もエネルギー回収も無駄なく進むというのだ。エネルギー革命は、生産と消費のし くみの見直しを要求しているのである。別海の大地にすいこまれていく特大の太陽を背に、北海道知事も燃料電池車に是非乗ってほしいというIさんの言葉が 印象に残った。 【写真説明】資源循環プロジェクト参加農家の牛舎前で(2005年2月1日、筆者撮影)


ネリングリー・南ヤクートの近代的な町(2)ジーマ・オダ(ロシア・サハ共和国)

    人口は約十万人です。旧ソ連の62民族の代表者たちが友好的に一緒に暮らしています。80パーセント以上はロシア人と白ロシア人とウクライナ人で、残りはタタール人、バジキール人とコーカサス人です。宗教は正教とイスラムの信仰者が多いです。正教会が建てられて、毎週ミサが行われています。もちろん、混血結婚家族があり、現地の少数民族との結婚もあります。各民族は民族協会を作り、自分たちの民族文化を市民に紹介、普及し、共同コンサートと芝居を演技します。文化施設は子供向きの人形劇場、民族文化センター、芝居劇場、スタジアムやエベキー村があります。

    幼稚園と保育園が建てられ、20軒の中学校、音楽学校、技術専門学校、ヤクート国立大学の分校などがあります。その中に、音楽学校のソロヴシカ合唱団が有名です。国際合唱団コンクールに参加して、1・2位を取り、コール国際コンクールで二回金メダールを与えられました。ロシア生徒合唱団の最も広く知られているものです。福祉施設として国立聴覚言語障害児治療センターガあります。共和国中の障害児を扱っています。

    町の主な産業分野は鉱業産業です。その中には最も重要なのは石炭の開発と採炭です。いくつかの石炭会社の内、ロシアとサハ共和国の大手石炭会社、ヤクートウゴル社の本社とコークス石炭とエネルギー石炭の露天ぼり鉱山がそれであります。毎年コークス石炭300万トンが日本の製鉄工場へ輸出されています。エネルギー石炭は日本のセメント会社と台湾と中国の会社が購入しています。地域の東にある新しいもっと高い品質の石炭がある炭田の開発が企画にあります。金と宝石の開発も進んでいます。バム鉄道の北へ走る単線がトッモット町に通じています。首都のヤクーツクまで建設する計画があります。町には飛行場、火力発電所があります。

    私の家族はこのネリングリーに住み暮らしています。我家は五人で、私と家内と子供三人です。家内は薬剤師です。一番上の子は女の子、現在モスクワ総合大学の四年生です。その次はまた女の子、今技術学校に通っています。一番下は男の子で、今は中学校の十年生です。これは日本の高校の二年生に相応します。下の二人の子、二女と長男は音楽学校を卒業しました。その学校の合唱団はロシアだけではなく、ヨーロッパとアジアの音楽学校の間でよく知られています。国際コールコンクールで何回も1・2位を占めて、賞を取りました。私の子たちも参加しまた。


~~ 井上靖記念文化財団の活動について ~~浦城いくよ(井上靖記念文化財団)

    ベトナム訪問記を二回にわたって書いて頂いた浦城いくよさんに井上靖記念文化財団についてご紹介をお願いしました。(編集部)

    本年の井上靖賞の受賞者・中村稔氏(右)と筆者「井上靖記念文化財団」について、ご紹介をさせていただきます。財団のかかわっている仕事について一人でも多くの皆様に知って頂く事は大変嬉しいことです。この財団は、井上靖の業績と遺志を永く後世に伝えるため、平成4年3月に設立され、次のような事業を行っています。

    1井上靖を記念する文化賞の設定と授与。2海外における日本文化の研究者、研究団体にたいする援助。3井上靖に関する遺品、愛蔵品の保存、公開。4日本近代文学に関する資料の収集と調査研究、など。

    ・井上靖文化賞文学、美術、歴史などの分野において創造的な芸術活動、卓越した学術の成果、永年の研究で今後の活躍が期待される人、団体が対象になっています。受賞者は以下の通りです。第1回  小澤征爾第2回  ドナルド・キーン第3回  陳瞬臣第4回  白土吾夫と日本中国文化協会第5回  梅原猛第6回  加山又造第7回  大野普第8回  白川静第9回  安田侃第10回  本間一夫と日本点字図書館第11回  直木孝次郎第12回  中村稔 選考委員 大岡信、平山郁夫、樋口隆康、菅野昭正の諸氏です。

    ・海外における日本文化の研究者又は研究団体に対する援助として、「井上靖交流賞」が平成8年中国の詩人で日本文学研究者でもある林林氏に贈られました。

    ・機関紙「伝書鳩」年1回 発行

     ・全国各地に井上靖に関わりのある記念館、記念室など主なもので7館、小さいものを入れたらもっとあります。ビデオ会、読書会、,講演会、講演会, 文学散歩などの活動が行われています。財団は講師の紹介や友の会の方々との交流、展覧会の企画などに関わっています。

    ・先年、国際交流基金を通して27カ国、55の日本語、日本文学を研究している実績のある機関に井上靖全集を贈りました。日本文学を通して諸外国の人々に日本人のものの考え方や風土などを理解して頂くことが作家としての国際貢献だと思って井上靖は努力をしてきました。その遺志をついだのです。本年2月にベトナムの国家図書館へ贈呈することが出来ました。来年は日豪国交の大きなイベントがあり、オーストラリアのある大学へも入れる予定です。 

    種まきをしたところです。置くだけでは意味がありません。これからは、芽を育てなくてはなりません。多くの日本語を学んでいる人々に本を読んでもらいたいとおもいます。


反日の「日」ってなんだ?  ナショナル・アイデンティティを考える その1~  井出晃憲

    今年の年頭、前学期の最終講義でこういう話をした。「よく中国と日本は「一衣帯水の国」とか「同文同種の国」だから「中日友好を!」とか言われるけど、僕はそんなことはお願いしません。」でも、気に入っているサザンオールスターズ桑田佳祐の「Seaside woman blues」という曲を紹介して、その中の「愛という字は真心で~、恋という字にゃ下心~♪」という歌詞を英訳できるかと尋ねてみた。できないはず、少なくとも歌詞として短くは。漢語ならできる。そして、「だから確かにお互い理解しやすいはずだけど、「親日」でも「反日」でもどうぞご自由に、ただしその前提として「知日」になってください、お願いするのはそれだけです。いっぽう僕も「知中」になるべく努力します」と締めくくった。

    それから3ヶ月あまりで、昨今のような事態になるとは思ってもみなかった。日本式の花見の宴を催した4月9日、行きの車中である学生から「今日の反日デモについてどう思いますか?」と質問を受けた。答えはこうだ。「今日は本当は予定を投石に変更しても良かったんだ。僕も日本政府にはいろいろと文句があるから。でも、たぶん大勢と一緒に楽しく石を投げられないだろうな。反日、反日って言うけど、この「日」っていったい何だ?政府でも特定の企業や個人でもなく、おそらく日本的なるものすべてだろうね。」

    近年のグローバル化はナショナリズムを弱めるのではなく、むしろ強化すると言われることがある。その点を踏まえて最近興味を持って読んだのは『帝国』(ネグリ、ハート著)という本だ。その中で構想されているのは、グローバル化の世界秩序=帝国に抗する者として、国民国家などの既存の枠に規定されない能動的な社会的行為体=マルチチュードの可能性だ。個別具体的な闘争目標があるならマルチチュードとして共闘も可能だろう。同じ穴の狢と言えなくもないが、かつてなら階級意識を土台として「敵は軍閥や大資本だが人民は友」とも言えた。けれどもナショナリズムだとそうはいかないからやっかいだ。

    「知」を経ずに「反」に結びつく。火を点けるのが誰かはここでは問わないけれど、いったん感情が燃え上がると鎮火が大変だ。ナショナリズムの基底にある共同体意識について考える上で、国家や民族、さらにはそれらを特徴づける長年の文化や伝統とか言われているものについて、もういちど疑ってかかる必要性を感じる。自分としては、自己選択したわけではない共同体よりも主体的な個に基礎を置いて生きていきたいと思う。今後の連載では、周囲の中国の友人知人との対話を通じてこれらの諸点を考えていきたい。

    花見をしたついでに、翌週の講義では日本における花の象徴的意味と題して話をした。"伝統"的に重要視されてきた桜のほか菊と桐。なぜ、日本国籍者の旅券には菊が、外国人登録証明書には桐の紋が入っているのか。花という小道具を使って内と外を峻別しようとする国家意志。いっそのこと、みんな一緒にチューリップにでもしておけばいいのにと思う。(ちなみに中国の場合には、外国人居留証にはマークなし、外国専家証には中国籍者の旅券と同じ五星と天安門の国章が付いている。これにも何かあるはずだ。)

    さて、次回の私の「日本文化講座」のテーマは、「在日本中的"反「日」"」。そのなかでもとくに昨今の教育をめぐる問題に関しての諸運動について考える。基本的には、国家が国民個人の心理や感情を誘導し評価していいのかという話だ。これは日本を事例にするけれど、参加者に考えてもらいたいことはもちろん他にもある。ちょっと正念場だ。反日のあおりか3人しか出なくなってしまった講座ではあるけれど。


太古の響き 英雄叙事詩オロンホと口琴ホムス(2) 直川礼緒(日本口琴協会代表)

    冷凍マンモスのおかげ様で、認知度が急上昇した「サハ共和国」だが、それまでは知る人はほとんどなかった。ソ連時代の呼び名は「ヤクート自治共和国」。90年10月から「ヤクート・サハ共和国」と称した時期を経て、92年8月には「サハ共和国」と改称。なんとかして消し去ろうという意志が見える「ヤクート」の語は、この地に住む民族名の、ロシア語による呼称。もちろん自称は「サハ」である。(完全に消し去ることは困難らしく、「サハ共和国(ヤクーチア)」とカッコ付きで表記されることもある。)サハ民族は、チュルク語系の言語を話す諸民族(トルコ、カザフ、キルギス、トゥヴァ、ウイグル…)の中でも、最も東で最も北に住む。

     世界で(正確には北半球で)一番の寒さを記録していること。ダイヤモンド、金をはじめ、地下資源が豊かなこと。大黒屋光太夫をはじめ、日本からの漂流民が滞在したことがあること。等々でごく一部には知られてきたサハ共和国は、口琴関係者の間では、「世界で唯一、口琴を国民楽器とする国」、いわば口琴のメッカともいえる、重要な地域なのである。

     口琴は、口に共鳴させて演奏する、竹製や金属製の楽器で、ユーラシア大陸を中心に広く分布している。日本ではアイヌ民族のムックリが知られているし、台湾の山地民族から、東南アジア各地、南インド、西アジア、中央アジア、ヨーロッパ各地、北アジアと、様々な民族が、それぞれの思いを託して演奏している。とはいえ、どこの地域でも大抵マイナーな存在で、表舞台にはなかなか登場しない。

     筆者がサハの地をはじめて訪れたのは、1991年。第2回国際口琴大会なる催しが開催されたときであった。国民の多くが「口琴」という楽器の存在を知り、それを愛している。一家に一本と思われるほどの普及率を誇り、「名人」という称号をもつ演奏家が何人も存在している。ラジオからは、定時に口琴の音が鳴り響き、「世界民族口琴博物館」なる口琴専門の博物館が居を構える。そんな、常識を越えた、口琴好きにとっては天国のようなところ。マイナーとメジャーが逆転した不思議の国。それ以来、何度かかの地を訪れることになった。

     今回の創作劇「キースデビリエ-太古の響き」公演の来日メンバーの中にも、実は何人もの名だたる口琴奏者が入っていた。舞台で口琴デュオを披露した、ゲルマンとクラヴディアのハトィラーエフ夫妻は、ユーラシアンクラブの招聘で何度か来日している。群集の一人を演じたアリビナ・ジェグチャリョーヴァは、サハの口琴音楽中興の祖イヴァン・アレクセイエフのアンサンブル「アルグィス(祝福)」のメンバーであり、ヤクーツクの音楽専門学校で口琴と伝統歌唱を教えている。ジャーナリストとして随行していた、サハ国立テレビ局のアナトーリイ・ゴーゴレフも、同じく「アルグィス」のメンバー。さらに、日本語通訳として来ていた、ヤクート大学東洋言語学科在学中のキム・ボリーソフは、12歳にしてサハ共和国初代大統領専属口琴奏者となり、世界各地でその演奏を披露(いわばひとり宮内庁楽部)してきたつわものである。他にも、口琴を演奏する女の子たちが、何人もいながら、その特技を公の場では一切披露せず、別の面の活躍をしているところが、サハらしいところであった。

     ところで、冒頭のマンモスであるが、同じ愛知万博会場で、骨格だけなら、全身像が、ほとんど並ばずに、しかも時間制限なしに見られる。「人気の」冷凍マンモスは、肉や毛皮がついているとは言え、頭部だけ(鼻もない)。長蛇の列をこらえ、無関係な映像をいくつか見せられた後、最後の10秒間、否応なく乗せられた動く歩道で垣間見るのと、どちらを選ぶか。全身骨格は、ロシア館にあるので、のぞいてみてはいかがでしょう。


~~ ウズベキスタンのアザムさんが3年ぶりに来日 ~~

    アザムさんが、母国に帰国後3年ぶりに来日しました。勤務先の業務で上司とともに東京への出張です。元々大柄な彼はますます太り、現在の体重はなんと120㎏。変わらぬ笑顔が、少し丸くなったようです。

     一昨年郷里フェルガナ盆地・ナマンガンの美しい女性と結婚し、昨年7月には男の子ヤヒヨちゃんが誕生しました。旧約聖書の預言者の一人に因んだ名前で、知的な・・・とか特別な意味を込めた名前のようです。現在はタシケントに親子三人で暮らしています。

     今ウズベキスタンでの話題は、昨年から開業しているタシケント-サマルカンド間約400kmを3時間半で走る特急列車だそうです。間に一駅だけ停まる列車で、金土日の週3日間、一日一往復するそうで、今後ビジネスや観光で大きな役割を果たすだろうと期待されています。今までの、夜タシケントを発って、翌朝サマルカンドに着く列車とは隔世の感があります。

     お酒の飲めないアザムさんは大の米好きです。21日のささやかな歓迎会ではおむすびやお寿司を美味しそうに頬張っていました。アザムさんは、27日に帰国の予定です。今後の一層の活躍を期待したいと思います。


編集後記:アザムさんの歓迎会に魚沼産のコシヒカリのお結びを持ってゆきました。久しぶりのおにぎりの味はどうだったでしょうか。おにぎりに不可欠なのが塩です。ウズベキスタン・テルメズの薄桃色の岩塩は他の塩を寄せ付けない、深いうまみを持っています。魚沼産のおにぎりにテルメズの塩。絶妙です。一度ご賞味を。(高橋)


発行:特定非営利活動法人ユーラシアンクラブ 発行人:大野遼
住所:〒151-0053東京都渋谷区代々木2-13-2 第一広田ビル
TEL/FAX:03-5371-5548 E-MAIL:paf02266@nifty.ne.jpホームペイジ:http://homepege1.nifty.com/EURASIANCLUB/郵便振替:00190-7-87777ユーラシアンクラブ 
会費はこちらへお願い致します。ご連絡はメールかファックスで頂ければ幸いです。

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