« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月

2009年3月 1日 (日)

ニュースレター第115号 壮大なデュエットの芸術

ユーラシアンクラブニュースレター第115号2009年3月1日


壮大なデュエットの芸術
~ハトラーエフ夫妻のホームページの紹介~その1 井出晃憲

    http://www.khatylaev.sakhaopenworld.org/index.html
    「彼らのスピリチュアルな民俗音楽はサハの土地との深い繋がりを表現している。その音楽の演奏とフォームは、遊牧民と異教徒の歴史年代記にまで辿る古いルーツを有している。」(HPより)

    サハ共和国のヤクーチャの音楽家であるゲルマンとクラウディアのハトラーエフ夫妻はユーラシアンクラブでもお馴染みだろう。新潟県小出町で行ったフェスティバルで初めて招聘して以来、すでに5,6回は招聘してアジアシルクロードミュージックキャラバンや音楽フェスティバルの常連メンバーとして参加していただいている。

    また彼らの希望で新潟県佐渡市の鼓童を訪ねたのがきっかけで、鼓童のシベリアツアーが実現し、クラブ代表大野がサハ共和国のコーディネートを任され、ヤクーツクでの2公演を成功させた。

    また、サハ共和国文化省アンドレイ・ボリソフ文化大臣が、英雄叙事オロンホから創作された音楽劇「キースデビリエ」の日本版の総合プロデュースを大野が行った彩の国さいたま芸術劇場での公演でも、シャーマン役で出演して脚光を浴びた。

    今回は2度にわたり彼らのホームページ、およびそこに記されたサハの民族音楽について紹介することにする。
    ホームページはトップページでハトラーエフ夫妻とサハの民族音楽の紹介があり、そのほかビデオ、音楽、サハの楽器、アメリカとメキシコへのツアーのページで構成されている。文章はもちろん、音楽の視聴もでき、さらに民族衣装を纏った夫妻(写真)、民族楽器、サハの景観などの写真も随所に掲載されていて、目と耳で楽しめるホームページである。

    ハトラーエフ夫妻の音楽とはどのようなものだろうか。
    「夫妻が創造した音楽の根本的な方針はサハの音楽演奏において永いこと忘れ去られていた伝統的技法を利用することである。鳥の歌やさえずり、凍った地面を走る馬のひづめの音…など、サハの文化に織り込まれた自然世界の圧倒的な音を模倣しているのである。」(HPより)

    「音楽は、サハの土地とその住民の魂である。もし寒い冬の息を経験したければ、もし春に目覚める自然に耳を傾けたければ、このサイト上で視聴できる音楽によってその強烈な感覚を味わうことができる。」 (HPより)
    次回は更にホームページの細部を見ていくことにする。


習ってみませんか サハ人が講師のロシア語講座
「空港から話せるロシア語会話」を開講

    ロシアの空港に着いて入国、通関、ホテルへの移動、手続、市内観光、買物程度が出来る会話習得を目指します

    講師はロシア・サハ共和国(愛知万博にマンモスの牙を出展)出身、ウラジオストク市の極東の名門・極東国立総合大学東洋学部日本語学科卒業の漢字を使いこなせる数少ない通訳です。同氏はロシア人でなくサハ人(ヤクート人)なので我々日本人と同じ外見です。

    日 時:4月4日~6月6日までの土曜日 毎回午後4時~5時半迄。
    (日程:4/04 4/18 5/09 5/23 6/06 6/20 合計6回)
    会 場:ユーラシアンクラブ 受講料:一人1回2,000円。
    お問い合せ:FAX:046-285-4895 E-MAIL:paf02266@nifty.ne.jp 090-3814-5322(大野)お問い合せをお待ちしています。

    講師:オコネシニコフ・ジミトリー(男)1958年11月6日ロシア連邦サハ共和国生まれ。1986年6月ウラジオストク市の名門極東国立総合大学東洋学部日本語学科を卒業し、同共和国南部の露天掘り炭鉱で有名な町・ネリングリーの石炭採鉱会社ヤクートウーゴリ社に入社、日本向けの輸出窓口として活躍。

    その後、サハ日本経済協力会やヤクーツク・ダイアモンドチャンバー社等に転職し、2005年9月来日。日露間の海底光ファイバーケーブル施設等の仕事に活躍中です。

    ネリングリーに、奥さんと看護婦の次女を残し、単身東京で働いています。長女はモスクワ大学を卒業後、司法関係の仕事に携わり、長男はサンクトペテルスブルグの工業技術大学に在学中。


春に向け事業計画協議しています 大野 遼

    新しい活動計画を計画し実施するクラブの運営委員会が発足し動き始めている。3月中に活動計画をまとめ、4月以降可能なことから活動がスタートする予定です。

    昨年から動き始めているクラブ会議室を使用したフォーラムは、「モンゴル語教室中級」、「ダリー語講座」それに「加藤九祚シルクロードアカデミー」がそれぞれ開講中だ。

    アフガニスタンのダリー語講座は、アフガニスタンのテレビ放映用のカメラ取材があり、生徒がエキストラになった。「シルクロードアカデミー」は、加藤九祚先生の一人雑誌「アイハヌム」を教材に、輪読と丁寧な解説でバクトリアから中央アジアにかけての新しい知識を吸収、贅沢な時間が流れている。新しい申込者があってもなかなか対応できないのが現状だ。

    また、三年後の開催に向けた「シカチアリャンの岩絵」の展覧会開催に向けた協議も始まった。村の青年受け入れは、村側の事情により頓挫しているが、いつでもスタートできるように準備したい。

    キルギス共和国の観光庁と協力して今年キルギスでアジアシルクロード音楽フェスティバルを開催し、来年本格的な「アジアの瞳音楽コンクール&フェスティバル」を開催、東京・日本橋でも同様な音楽コンクールを開催して、アジアの芸術家の地位向上を目指すイベントに発展させ、アジアの人と文化の交流活性化つなげようという模索は、キルギス側の対応がのんびりとしており、少し時間がかかりそうな気配です。

    しかし、日本の国際交流、旅行関係団体との協議は積み上げて準備は継続している。キルギスと日本橋をつなぎ、アジアの芸術振興と交流活性化の意義についてのご理解が少しずつ進展していると受け止めている。

    そして一月以降、ユーラシアンクラブの存在・存続の意義を議論しながらスタートした運営委員会は、ユーラシアンクラブのある渋谷区、新宿区、シルクロードの終着駅と位置づけている中央区・日本橋や私が居住する神奈川県愛川町を拠点に、その地域の特色に応じた活動を展開する方向で議論しながら、共通した取り組みとして「子どもにアジアの未来を託すプロジェクト」の肉付けの作業を始めている。

    子どもたちにアジアを体験的に理解あるいは実感してもらうためにどうしたらよいかを考えた末、現在もっとも親密な関係にあるモンゴルのバーボルドーさんやネパールのミュージシャン、パンチャラマさん、アフガニスタンのセデカさんの三人を囲むミーティングを開催した。

    その上に立って、さらに子どもたちにアジアを知ってもらうにはどんなやり方がよいのか、それぞれの地域の教育関係者などの意見も聞きながら、具体的な活動計画を作り上げていきたいと考えている。

    活動の受け皿には、渋谷区と新宿区はユーラシアンクラブ自体が取り組むほか、私の住む愛川町には昨年発足した「愛川サライ」をユーラシアンクラブ事務局運営委員会が責任を持つ形の「支部」としながら、活動内容は「愛川サライ幹事会」が活動計画を検討し、独立採算で実施する考え方で、会員募集と町の文化協会への加盟の準備を進めている。

    すでに地元の歴史的シルク産業を基盤にした全国的にも知られたシルク産業拠点愛川町半原の財団法人繊維産業会が団体加盟を決めるなど、地元の関係者が会員登録を増やしつつあるのが現状で、幹事会の話し合いも進めている。中央区でも新たな団体設立の動きを進めつつある。

    運営委員会では、地域担当、事業担当を決めているが、専従スタッフがいるわけではないので活動はゆっくり進んでいる。今後は、専従事務局スタッフを維持できる収益事業を何らかの形で立ち上げる考えでいる。今後の活動の方向にかなった事業を見出したいと思う。

    私がユーラシアやアジアの理解促進の活動とアジアの少数民族にウェートを置いた交流が重要だと考えるようになったきっかけは、私が20代の終わりに近く、当時設置されたばかりの国立民族学博物館に加藤九祚先生が教授として着任し、当時新聞記者の私がぜひお会いしたいと訪ねたことから始まっている。

    以来、シベリア・アルタイ山脈から中央アジアなど同行したり、いくつかの調査や展覧会事業を計画し、北方ユーラシア学会を創設したりしてきた。ユーラシアンクラブ創設に当たっては名誉会長をお願いし、1月からは「加藤九祚シルクロードアカデミー」まで開講して、クラブ会議室の維持に協力していただいている。

    個人的にも、公的にもお世話になっている先生ですが、今年数えで88歳。米寿の祝いを迎えることになった。ウズベキスタンの仏教遺跡の発掘は11年目を迎え、一人雑誌アイハヌムも9号目と、「88歳なお現役!」というお元気な状況で、普通の米寿の祝いは考えられないと思っています。

    現在、テルメズの遺跡調査を支援している薬師寺さんや有志の方々と話し合いを行っている。著書を通して先生に敬意を表しておられる一般の方々も参加できるような催しにしたいと考えています。ご提案などあれば、どうぞお知らせください。引き続き皆さんのご支援をお願いしたい。
    【写真】アフガニスタンの映画監督の取材を受けたダリー語講座


コペンハーゲンで決めよう「地救」のルール
地救フォーラム in 高野山

    日程:2009年4月25日(土)13:00~基調報告・パネル討論・宿坊交流
    26日(日)4分科会と全体集会
    特別公演・三浦雄一郎
    会場:高野山大学(和歌山県伊都郡高野町高野山385)
    主催:MAKE tne RULEキャンペーン実行委員会等

    テーマ:加速する温暖化、まだ間に合う!コペンハーゲンで決めよう「地救」のルール

    主旨:温暖化防止に向けた2013年以降の世界の取り組み方向を決めるため、2009年12月7日からデンマークのコペンハーゲンで開かれる国際会議(=COP15)は、まさに人類の生存がかかる重要な会議です。しかし、各国の利害や思惑から交渉は難航が予想され、その成否は予断を許しません。

    私たちは、世界のすべての国が科学の警告を真剣に受け止め、COP15で有意義な合意と協力が成立することを、またこの機会において日本が世界をリードする役割を果たすことを心から願い、この催しを開きます。

    参加費:資料代等、一般1000円、学生500円、高校生以下無料
    宿泊費:一泊二食9,500円(一部屋3名)

    スピーカー[50音順]:浅岡美恵(気候ネットワーク代表)、飯田哲也(環境エネルギー政策研究所代表)、枝廣淳子(環境ジャーナリスト)、後藤太栄(高野町長)、田中優(未来バンク事業組合理事長)、西岡秀三(国立環境研究所参与)、浜中裕徳(地球環境戦略研究機関理事長/元地球環境審議官)、松長有慶(高野山真言宗官長/全日本仏教会会長)、三浦雄一郎(プロスキーヤー/冒険家)、フランツ=ミカエル・スキョル・メルビン(在日デンマーク大使)、他
    事務局:わかやま環境ネットワーク 電話073-432-0234 URL:http://2050earth.org


ユーラシア短信 ユーラシアの各地から

    露覆うデフォルトの恐怖 危機再来 生活防衛に走る市民
    ロシアで起きた前回の経済危機以降、マリーナ・ザポロジェツェヴァさん(46)が新車の購入資金をためるのに10年かかった。危機の再来を恐れるザポロジェツェヴァさんは、貯蓄にしがみついている。

    1998年、ロシア通貨ルーブルが急落、政府はデフォルト(債務不履行)を余儀なくされ、何百万人もの国民の貯金が消し飛んだ。モスクワの会計士は職を失い、生計を立てるためにコックにならざるを得なかった。

    ロシア経済はその後、原油、天然ガス、金属資源で潤い、個人消費も伸びて10年間右肩上がりの成長をみせた。そしてまた縮小に向け急速に傾いた。ロシア人のほぼ半数はいまだ貯蓄がない一方、ザポロジェツェヴァさんのように懐に少しでも余裕がある人は、日々生き抜くため貯蓄を死守している。

    賃金は下がり、失業者数は600万人以上に達した。ロシア経済は99年以降、年率約7%で成長してきたが、ロシア政府は今年、2.2ポイント縮小すると予想している。

    昨年は8月1日以降、ルーブルが対ドルで35%下落。輸入コストが上昇して1月のインフレ率が13.4%に達し家計所得も減少した。昨年11月以降、ロシア中銀は政策金利のレポ金利を12%にまで引き上げている。(略)ロシア連邦統計局の19日の発表では、1月の失業率は2005年3月以来の最高値の8.1%、失業者数は610万人に達している。

    昨年12月の平均月給は、前年同月比4.6%減の1万7112ルーブル(約4万4800円)となり、99年10月以来、初めて減少に転じた。賃金の減少で小売業の成長は減速、過去9年で最も鈍化している。(以下略)(MARIA ERMAKOVA)フジ・サンケイビジネスアイ 20090225 http://www.business-i.jp/news/bb-page/news 

    農村からの出稼ぎ労働者、失業対策が始動(中国)
    約2千万人に上る「農民工(農村からの出稼ぎ労働者)」が現在、失業のため故郷に帰っている。全国総工会(労働組合の全国組織)はこれに対する支援活動を始動、1千万人の農民工の就職支援を重点とした総合的な支援措置を講じることとなった。「新京報」が伝えた。

    全国総工会の孫春蘭・副主席(書記処第一書記)は17日、テレビ電話会議において、労働組合は農民工の創業を支持するため、政府や社会から資金集めを行い、農民工に対して低利息・無利息ローンを提供すると発表した。

    会議では、全国総工会が今後、失業した農民工の生計問題を解決するために、「再就職」と、「創業の支援」という2つのルートを通じて努力することが決定された。(略)

    農民工の個人または集団での創業を支持することについて孫副主席は、現在最も重要なのは小額ローンの担保問題の解決だとした。労働組合は集団創業の農民工に対し、抱き合わせ式の小額担保ローンの実施に努めると同時に、全国の10の地級都市で労働組合による小額担保ローンの試行を実施するという。 20090218 http://www.asahi.com/international/jinmin


ウズベク最近事情05 農業と子どもたちの将来

    ウズベクの農業は、最も重要な外貨獲得源である綿花栽培(2005年、世界第4位の輸出量)を中心として、GDPの約35%を占める基幹産業です。

    前号でお伝えした通り、シェルカットの解体により、フェルメルになれなかった多くの農民・農業労働者(デフカンと呼ばれる)は、自給用の農畜産物の生産や余剰生産物の販売、フェルメルでの季節労働、ロシアやカザフなどへの出稼ぎにより生計を維持しています。

    彼らが生産する野菜・果樹・畜産は、国の生産量の過半数を超え、その一部は隣国のカザフなどに輸出されているといわれます。

    しかし、国の政策が綿花、小麦などの国家統制作物を栽培するフェルメル向けに優先され、それ以外の野菜や園芸作物や畜産を行うフェルメルやデフカンに対する支援がほとんどないことや、灌漑・排水路の維持管理が資金・機材などの不足により出来ず、塩害を悪化させる一因となっているなど、農業には多くの課題があると聴きます。

    もう一つ大きな問題があります。ウズベキスタンでは9月中旬から地方の学童、生徒、学生そしてマハッラ(町内会組織)から動員された勤労奉仕部隊がいっせいに棉畑へ向い、棉摘み作業を行います。全国から300万人が動員されると言います。

    10歳~14歳の学童生徒は朝から昼過ぎまで、自宅から通える範囲の棉畑で2ヶ月近く働き、15歳以上の生徒、学生は地方の小学校などに合宿して朝8時から夕方6時まで棉摘み作業を行うと言います。

    15歳以下の児童が、貧困からではなく、国や地方政府の命令で強制的に労働に駆り出されており、しかも、カリモフ大統領一家が支配する商社3社だけに綿花輸出のライセンスが与えられているという、驚くべき実態があります。

    世界の綿花収穫は機械を使用するのが一般的といわれますが、機械による原綿の収穫には昆虫、小石、棉殻などの不純物が混入するので手摘みが重宝がられているようです。

    しかし、農業での児童労働は「未熟な身体機能が、農薬や肥料、作物の埃や有害な化学物質、そして排ガスにさらされる危険を大人よりも高くし、重荷やぎこちない姿勢(かがんだり、ひざ立ちしたり、手を伸ばす)と、繰り返しの作業は、成長している背骨や手足を傷つけうる」(ILO)危険性をもっています。

    パリに本部を置く「中央アジアの人権」は、児童労働を撤廃し、農民に真の経済的自由を与えるようウズベキスタン政府に迫るためには、国際不買運動が必要と指摘しています。

    ILO国際労働機関が児童労働廃止を謳った1973年の最低年齢条約(第138号)と1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)をウズベキスタン政府は批准していません。http://www.ilo.org/public/japanese 

    2700万人の人口のうち、0歳~14歳人口が全人口の33.2%(国連2005年)を占める国で、子どもたちの今と将来が心配されます。(文責:杉浦龍平 完)
    【写真】ウズベクの少女 シャフリサーブスにて


コンサート&トーク「ペルシアの伝統音楽-日本と西アジアをつなぐ音楽回廊」 横浜ユーラシア文化館

    ペルシア古典音楽のコンサートと解説。洗練された歌声とサントゥール(打弦楽器)やタンブル(弦楽器)などの古典楽器が奏でる音色をお楽しみください。

    演奏/シャーサーバリー・ハミド.R 洗練された歌声といくつものイランの古典楽器を一人で演奏することで知られます
    解説/大野 遼 NPOユーラシアンクラブ主宰。日本音楽の源流とユーラシアの音楽を研究しています

    日時:2009年3月29日(日)14:00-16:00
    会場:ZAIM別館ホール 横浜市中区日本大通34文化館から歩2分

    第一部 イラン伝統音楽の鼓動
    シャーサーバリー・ハミドさんの演奏と歌でペルシアの伝統音楽をお楽しみください。
    第二部 ペルシアから日本橋につながる音楽のシルクロード―三味線誕生の物語
    大野 遼さんが日本とアジアをつなぐ壮大な音楽史の一端を紹介します。
    第三部 ダストガフの世界「シュールとマフール」-タンブルの演奏
    ふたたび、シャーサーバリー・ハミドさんの登場です。

    参加費 1,500円 企画展「西アジアに迫る~江上波夫のまなざし~」もご覧いただけます。
    定員90名、お申し込み多数の場合は抽選になります。
    お問い合せ:電話045-663-2424(〆切間近)http://www.eurasia.city.yokohama.jp/contact/index.html 
    【写真】シャーサーバリー・ハミド・Rさん


シカチアリャン採拓紀行 その3 井出 晃憲

    第1ポイントにてラスキン氏に船の岩絵について尋ねると、それらはすでに摩耗して見えなくなっていたり、砂の中に埋まってしまったという答えが返ってきた。

    ポイントがどこからどこまでかという指標もないだだっぴろい河原に岩がごろごろと点在している。はっきりと判別できる岩絵は確かにいくつかあるのだが、人の手で描かれた模様なのか自然にできた模様なのかにわかには判断がつかないものが多い。

    さらに腹立たしいことには、いたずらで岩が削られているものもある。ロシア語のほかにハングルも目立つ。これでは目当ての岩絵を探すのは簡単なことではないなとようやく分かってきた。

    出発前に東京では、オクラドニコフの岩絵の模写のスケッチを見ながら、大野さんよりこれがいいあれがいいと採拓するべき岩絵の指示を受けていたが、実際にアムールの岸辺に立って、それがまさに机上の空論であったことをつくづく実感した。拓本保存会の方々も驚かれているご様子だった。

    ただ、岩絵の所在をよく知るラスキン氏がいっしょにいてくれることが心強かった。ところが、あろうことかそのラスキン氏は翌日から遠くコムソモリスク・ナ・アムーレに出張するとのことで午後4時には帰ってしまった。こちらとしては、この採拓の3日間はずっと案内してくれると思っていたのだが。

    それでも第2ポイントには比較的目立つ岩絵の多かったので、拓本保存会の皆さんはめいめい岩絵の採拓本とりかかる。さすがにプロだけあって手際よく作業が進む。初めて採拓の現場を見る私には興味深いものだった。何しろ墨を岩に塗って採拓するのだから作品は左右逆転したものになるだろうと思っていたほどの素人なので。

    現地の協力者であるグレゴーリさんが遅い昼食として温かいスープを船で差し入れてくれたが、保存会の方々の中にはそれに手を付けるのさえ時間がもったいないと作業に没頭される方もおられた。

    ともかく第2ポイントではそれなりの収穫を納めることができた。人の顔が胴体にある馬や内臓が描かれた鹿など面白い図柄もある。

    夕方、作業を終えてシカチアリャン村唯一のよろず屋のような商店に男性陣でウォッカを買い出しに行く。外見は見すぼらしいが店内は明るく清潔で商品も多い。ただ、村の中心部には所在なくたむろしている若者たちや酔っ払いもおり、荒廃している感じがなくもない。

    でも、子供たちは別だ。珍しい外国人とわかると人懐っこくついてくる。よく見れば、朝方村長のニーナさんに子供たちへと託したプレゼントのおもちゃでもう遊んでいる。ありがたいことである。

    キャンプ地に戻って夕食を始めると、地元の漁師のミーシャさんがイクラを買わないかとやって来た。今はちょうどサケ漁のシーズンなのだ。大きな瓶にいっぱい詰まったイクラを奮発して2000ルーブルで買う。思わぬごちそうでウォッカが進み夜も更けていった。(続く)
    【写真】人の顔が胴体にある馬の岩絵の採拓の様子


編集後記:バクダッドのイラク国立博物館が約6年ぶりに部分再開したと報じられています。旧フセイン政権崩壊直後の03年4月、バグダッドが無法状態となる中、古代メソポタミア文明の彫像などが密売目的で相次ぎ略奪されました。略奪された約1万5千点のうち、約6千点がイラク国内やヨルダン、シリア、米国などから返還され、部分再開にこぎつけたと言います。当面は、学生団体などに限定して公開とのこと。一日も早く平和が訪れ、一般市民が日本からも見学出来る日が来ることを願っています。(高橋)


発行:特定非営利活動法人ユーラシアンクラブ 発行人:大野遼 住所:〒151-0053東京都渋谷区代々木2-13-2 第一広田ビルTEL:03-5371-5548 FAX:046-285-4895 E-MAIL:paf02266@nifty.ne.jp ホームペイジ:http://eurasianclub.cocolog-nifty.com/ 郵便振替:00190-7-87777ユーラシアンクラブ。お振り込の場合:ゆうちょ銀行0一九店 当座預金 0087777 ユーラシアンクラブ 会費、ご寄付はこちらへお願い致します。ご連絡はメールかファックスを希望します。
2009 03 01 Non Profit Organization Eurasian Club

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »