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2010年1月 2日 (土)

ニュースレター第124号  「300人の村の世界遺産 シカチアリャンの岩絵展」成功へ

ユーラシアンクラブニュースレター第124号2009年12月1日


イオルの確保は日本の課題 大野 遼

    現在進んでいる新しいアイヌ政策の中では精神文化を尊重する政策が第一に重要だと考えられているということを前号で紹介した。しかし,私はアイヌの生活圏,領域の確保が最も重要だと考えている。

    大規模な植民による生活圏の消失,「改名」「改俗」「言葉の強制」,困窮と離散,民族文化や誇りの消失―と,出口の見えない「同化の百五十年」の末に動き始めたのが,国連を通した「先住民族の10年」プロジェクトで、その二期目のプロジェクトの中で結実したのが,「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(平成19年9月13日)だった。

    日本におけるアイヌ理解や国の政策,法整備も急速に進展し,平成9年アイヌ文化振興法制定,平成20年アイヌ民族を先住民族とすることを求める衆参両院決議につながった。

    「同化」が始まるのは,国家や民族や宗教的優勢な勢力,あるいは社会の優勢な勢力が,人(民族)をその人(民族)の気持ちや意思を顧みず,その仲間に囲い込むことを「宣言」したときである。

    民族としてのアイヌが「同化」そして困窮と差別の不幸に襲われるきっかけとなったのは,大きく三つの段階があったと考えられる。たくさんの渡来人を受け入れて国家の体制を整備していた大和の勢力が東国支配に乗り出した7-8世紀。

    蠣崎氏(松前藩)が,秀吉から朱印状,家康から黒印状を得てこれを後ろ盾に北海道渡島半島に拠点を築き,蝦夷地の経済圏支配に乗り出した16,17世紀。

    そして第三段階が幕末。アメリカやロシアの開港(通商)要求に対して「アイヌは日本人」「アイヌの住む蝦夷地(和人の呼称)は日本領土」と宣言,樺太や択捉以南の島を「日本領と主張(宣言)」した19世紀半ばである。

    人間関係でも,友達であるかないか,恋人であるかないか,仕事仲間であるかないかなどは,同意や契約が基本であるが,近代国家の国境線の画定はほとんど,優勢な国家の宣言と国家間パワーポリティクスで決定される。そして先住少数民族の不幸や領土問題が残される。「同化」のスタートである。

    この「同化」の過程で一番問題視されるのは,民族として自立できる生活圏を保障しなかったことだと思う。精神文化の消失はこれらの過程の結果論であり,生活圏の確保がその基礎になるべきだ。生活圏の中には,領域,子供の教育,経済振興などが含まれる。

    「報告」では、「今日的な土地・資源の利活用によりアイヌ文化の総合的な伝承活動等を可能にするよう配慮していく」ことが重要としてはいるが、聞き及ぶアメリカの先住民族が確保している生活圏の領域に比べて不十分なレベルにある。

    さらに,「近代国家」の基礎は選挙に基づく代議制の国会が重要だと言っても,北海道を中心として、明治維新前後のアイヌ2万人、和人の移民開拓者を中心として10万人であったのが、現在では和人562万人(平成18年)と言われるほど植民人口が激増した結果,アイヌの要望を直接反映する仕組みが「多数決民主主義」では限界がある。

    報告は「国会等におけるアイヌ民族のための特別議席の付与については、国会議員を全国民の代表とする憲法の規定等に抵触すると考えられることから、実施のためには憲法の改正が必要となる」と指摘している。国家の民主主義の原罪の解決には、超法規的考え方も必要だと思う。

    「瑞穂の国」などと語り、戦後の農地解放でも,現在進行中の農地制度改革でも,農地(畑地、水田)政策一本やりだ。森(山)や川、海につながる循環する自然資源との共生は大きな課題になってきている。

    イオルと呼ばれたアイヌの伝統的生活空間の確保は、アイヌだけでなく、現代日本人の大きな課題だと思う。先日我が家を訪問した浦川治造さんから、日本海側の荒廃する森林の復興に一緒に取り組もうと提案された。

    大陸からの汚染物質の飛来が樹木を大量に枯らせているのだという。私は、アイヌが、日本における多文化共生と自然との共生のリーダーとして活躍してほしいと思う。私は浦川さんのようなアイヌが国会議員となったらいいのではないかと考えている。


厳寒の映画撮影現場に行ってきた 井出晃憲

    10月末から11月初旬にかけて中国へ出かけた。ひょんなことから現在撮影中の映画のロケ現場を取材することになったからである。

    映画のタイトルは、『アルグン河右岸』という。同名の原作が女流作家の遅子建により書かれ、同書は第7回茅盾文学賞を受賞し、中国では名の知れた作品である。

    アルグン河はアムール河の源流の一つで中国とロシアの国境となっており、その右岸とは中国側を指す(3ページ地図参照)。エヴェンキ族は対岸のロシア側にも居住しており、この題名は民族が分断されているということも暗に示している。

    物語は、同地に居住するエヴェンキ族の最後の女酋長の一代記であり、年老いた彼女が昔を回顧するという筋立てになっている。戦前、戦中そして社会主義建設と激動の時代に翻弄されながら生き抜き、民族の生活も遊牧から定住へと大きな変貌を遂げた、そのような内容の映画である。

    今回は、監督やスタッフ、そしてキャストもほとんどが少数民族であり、エヴェンキ族を主人公にしたこの映画に対する意気込みは相当なものである。監督もこの映画を撮ることで今後の自分の映画へ姿勢が変わるだろうと述べた。

    そして、これまで長年に渡って少数民族の支援を行ってきたユーラシアンクラブに、ぜひ映画の日本での上映を実現できないかという打診があり、私が代表として取材に出向いた次第である。

    撮影は内モンゴル自治区ハイラルからさらに北方の根河市で行われている。私は以前夏に大興安嶺を旅したおり現地を訪ねたことがあり、盛夏の美しい緑が印象に残っていたが、今回はまだ秋というのに厳寒の候となっていた。

    取材の当日は、日中は屋外でエヴェンキ族の宿営地の移動のシーン、夜は屋内のセットに作られた天幕の中のシーンだった。日中でも零下15度ほどであたりは一面雪景色である。

    小さな子どもたちも含めてエヴェンキの一族がトナカイを連れて移動していくというシーンを撮り、私は寒さに震えながら半日ほど見学していたが、それでも実際の映画では5秒ほどのシーンに過ぎないと聞き、映画の撮影の大変さを垣間見た思いである。

    夜には零下20度ほどにまで冷え込んだ。屋内に天幕のセットを設けて室内の撮影をした。その合間に監督や主演女優へのインタビューを行った。ダフール族である監督はもともと画家であったが、黒澤明の本との出会いがきっかけで映画の道に進んだという。

    主演女優は浅野忠信主演のチンギスハーンの映画でハーンの母親役を務めたとのこと。その他にも、当日はいなかったが、スーチン・ガウアーという中国の国民的女優も出演する。中国ではおそらく評判になるだろう。

    この映画は、言わば"文部省推薦"のような、子供から大人にまで少数民族について考える機会を与えてくれる教育的な映画である。できることならば、ぜひ日本での上映を実現させてできるだけ多くの人に観ていただきたいと願っている。


―1万2千年前に遡る北東アジアの古代絵画―
太陽信仰と生命樹が守る少数民族の聖地
「300人の村の世界遺産 シカチアリャンの岩絵展」

    一度でよいので,この「300人の村」を訪ねてほしい。そして感想を聞かせてほしい。
    アムール川の岸辺(右岸)の丘の上に展開するシカチアリャン村のことである。
    ロシア式の古い木造住居は傷み,崩れて,マイナス35度になる冬にも隙間風が入る。
    道は,雨にさらされて,削り取られ,でこぼこで,曲がりくねり,坂道が多い。

    道端では,ぼろぼろの衣服を来た男たちが酒の臭いを発散しているのが顔を見ただけでわかる。数年前にこの村を訪れた友人から,麻薬に手を染めている者もいると知らせてきた。私は,この村に18年間通ってきた。しかしある理由で2年ほどこの村に行っていない。私はこの村が大好きである。

    酒臭い男たちと話してみたらよい。言葉が通じなくても声をかけて欲しい。相好を崩し,愛嬌のある笑顔が返ってくるだろう。彼らは単に仕事が無いだけなのだ。村には,酒びたりの男たちをきつく叱るおばあさんもいる。
    この村に未来があることは子どもを見ればわかる。

    一度でよいので,村の小学校,保育園を訪ねてほしい。そうすれば感想も変わるだろう。
    きちんと挨拶を交わす,屈託の無い笑顔。スポーツクラブ,文化クラブの活動も活発で,郷土史博物館も充実している。子どもが大切にされていることは,子どもを見ればわかる。

    シカチアリャン村の眼前をゆったりと流れるアムール川(マンゴー川;モンゴルの語源か?)。川の岸辺に転がる火山岩に刻まれた百数十点にのぼる岩絵は,生命樹や太陽神話と深く結びついている。

    村の子どもたちは,世界樹とも言われる命の木(生命樹)の枝の先に止まった鳥がその魂を運ぶことで誕生したと考えられている。

    昔,地上は三つの太陽に照らされ,大地は溶けてやわらかく,生活できなかった。英雄が現れて弓矢で二つの太陽を射落とすと,太陽は砕け散って無数の星となり,生き物の痕跡は冷えて固まった岩絵となって残された。

    マンゴー川(アムール川のこと)で生まれた子どもたちは,スキーを履き,オモロチカと呼ぶ舟で移動する自然と共生した暮らしを営み,家族や氏族には,トラや熊,狐などのトーテムが知られている。トラや熊はモハ(支配者)であり,人々はモハの子孫となった。人々は昔靺鞨(モハ,モヘ)と呼ばれた民族の子孫である。

    一度でよいので,この村の歴史や文化を紹介する展覧会に来て欲しい。そうすればこの村の印象も変わるだろう。
    人々は,隋・唐代には黒水靺鞨と呼ばれ,12世紀になると中国北半を支配した金王朝を建て,さらに後には清朝を起こした女真や満州と呼ばれた。

    人々は今,ロシアの先住少数民族としてナナイと呼ばれている。
    この村は女性が支えている。そして村の未来を憂えているのも女性だ。
    女性たちは,民族の言葉を伝え,踊りや歌を伝え,伝説を伝え,岩絵を守っている。
    一度でいいので,ハワイやパリ,ロンドンのツアーの代わりに,この村への旅行をしてほしい。
    この村は,日本から一番近い先住少数民族村である。(3ページ地図参照)

    ・アムール川の漁労や狩猟で生計を立てていたが,アムール川の汚染で漁労ができなくなった。
    ・金帝国の昔は,原生種の大豆も栽培していたが,今は農業技術も機械も無い。
    ・世界遺産に匹敵する「シカチアリャンの岩絵」は,アムール川にさらされ風化や港湾開発で破壊が進んでいる。
    ・守られて育った子どもたちが小学校の教師の資格を取ったが,仕事が無い。

    村の女性に支援が必要だ。未来をになう子どもたち,農業や養殖漁業,観光のノウハウを教えたい。
    研修には,日本語の教育が必要だ。
    日本人観光客が訪ねても困らない,日本語のわかる若者がいる村になって欲しい。

    村への支援の第一歩となる展覧会は3年後の開催を目指し、現在,国立民族学博物館,川崎市民ミュージアム,横浜ユーラシア館,札幌学院大学の研究者そして村の人々や北方少数民族協会と相談している。ご期待ください。(大野遼)


環境とエネルギー(2)
気候変動による氷河湖の決壊洪水被害 町野 勤

    前回のニュースレターで報告したアラル海と同様にアフリカ大陸中央のチャド湖でも面積が過去40年間で9割減少し、20年後には消滅のおそれがあると国連食糧農業機関(FAO)が先月報告していました。これは人口増加と気候変動が原因となっている様です。

    今回は、この気候変動の影響として、氷河湖の形成と決壊による被害をテーマにします。地球温暖化による氷河の衰退は、近年キリマンジャロをはじめヒマラヤなど世界の山岳氷河で報告されていますが、それと同時に溶け出した水が、くぼ地などに溜まって氷河湖を形成しています。

    氷河湖は、1950年代ごろから増え始め、国際総合山岳開発センターによると、2007年では、約二千数百個の氷河湖が存在すると報告されています。

    そして、この氷河湖の決壊による洪水被害として、1994年にブータンのルナナ地方で氷河湖決壊洪水が発生した際には、旧首都プナカで押し寄せた洪水で21名が亡くなり、川沿いの家屋や歴史的建造物であるゾン(寺院兼役所)が破壊され、農作物や家畜なども被害を受けるという大災害が起きています。

    また、筆者がユーラシアンクラブのサマーキャンプツアーで一昨年、訪れたキルギスにおいても天山山脈にある氷河でも昨年7月に氷河災害があったとの報道があり、腹下しと伴に遥か彼方に聳える天山山脈をバックに大凧が舞っていたのを想い出し、再訪の気持ちに駆られています。以下新聞記事から。

    「中央アジア・キルギスの天山山脈で昨年、山岳氷河が解けてできる『氷河湖』が急速に拡大し、形成が始まってから約二ヶ月半で決壊したことが、総合地球環境学研究所(京都市)の奈良間千之研究員(自然地理学)らのグループの調査でわかった。

    一般的に、氷河湖が形成されてから決壊するまでは、数十年かかるとされており、グループは「地球温暖化が招いた氷河災害の極めて危険な事例だ」と指摘している。

    標高3700m地点の『ズンダン氷河湖』。衛星画像の分析などによると、昨年5月13日頃に現れ、縦約370m、幅約160m、深さ約25mまで拡大し、その後、7月24日に決壊。土石流が発生して約15km離れた村近くで住民3人が死亡し、道路や畑、家畜の飼育施設などにも被害が出た。

    天山山脈にある氷河は約15,400km2とされている。同氷河湖がある山脈内陸部は、1971~2002年で氷河面積が8%も減少、山脈北部では80~00年、夏の平均気温が約0.9度上昇したというデータもある。今回の決壊も、気温上昇により氷河が解ける量が急激に増加した影響とみられるという。

    氷河湖の決壊は、ヒマラヤ山脈などでも起きるが、今回のように短期間で決壊した例はないという。

    ズンダン氷河湖が決壊した二日後に現地入りした奈良間研究員は「泥が一面に広がり、壊れた車が放置されるなど、生々しい光景に災害の怖さを痛感した。対策は難しいが、今後も調査を進めていく必要がある」と話している。(2009年8月20日 読売新聞)

    この件について、外務省の「中央アジアにおける環境協力」をテーマとした今年2月に行われた第3回東京対話の第2セッション「気候変動が中央アジアの環境に与える影響」で奈良間千之氏の報告があった様です。

    また、前述した、「ブータンの氷河湖決壊洪水」に対し、わが国でも、2008年度に採択された「地球規模課題対応国際科学技術協力(外務省、文部科学省とJICA、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が連携して実施するODAの新しい枠組み)のプロジェクトの一つとして、「ブータンヒマラヤにおける氷河湖決壊洪水に関する研究」が開始されています。

    ここ数年、地球温暖化がまさに肌で感じられる様な気がして、それと同時に来月のコペンハーゲンの気候変動枠組み条約締約国会議に向けて世界もよりアグレッシッブな動きになってきて、その渦中で環境省に派遣勤務している私も翻弄されてきています。(続く)


他団体情報

バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)第93回研究会ご案内

    日 時:2009年12月10日(木)18:30~20:30
    テーマ:「地域のメタン発酵施設を成功させるポイント」
    講演者:薬師堂 謙一氏(農研機構中央農業総合センターバイオマス資源循環研究チーム長、NPO法人九州バイオマスフォーラム理事長)
    会 場:環境パートナーシップオフィス(東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)地下鉄表参道駅より徒歩5分・JR他渋谷駅より徒歩10分http://www.geic.or.jp/geic/intro/access.html#epo
    参加費:BIN会員 無料、一般 1000円

    ※日本での、特に行政主体の地域でのメタン発酵施設は、これまで多くの課題をかかえてきました。安定的な原料の調達や運営方法、熱や電力の利用先に加え、最大の課題は消化液の処理だと言われています。

    農研機構中央農業総合センターバイオマス資源循環研究チーム長の薬師堂謙一氏は、熊本県山鹿市バイオマスセンターなどで、家畜糞尿や生ごみといったウェット系バイオマスをメタン発酵させ、発生したメタンガスを利用するメタン発酵施設の計画・運用に携わってこられました。

    山鹿市バイオマスセンターは、地域のメタン発酵施設での成功例として、各地からの視察者が多数訪れています。経済的・エネルギー的に安定的に稼動できるメタン発酵などのバイオマス施設計画のポイントはどのようなものなのか、地域の特性に合わせて、どのように運営するべきか、薬師堂さんより伺い、参加者の皆様とも活発なディスカッションができれば幸いです。

    多数の方のご参加をお待ちしています。参加を希望される方は、下記よりお申し込みください。http://www.npobin.net/apply/


11月15日に神奈川県立ふれあいの村で「モンゴル文化ナーダム」盛会で終了

    11月15日,神奈川県愛川町半原にある神奈川県立愛川ふれあいの村紅葉祭で「モンゴル文化ナーダム(モンゴル祭)」が開催されました。

    モンゴルブフ(相撲)クラブの代表バーボルドさんが、友人の力士16人を引き連れ、オフィス遊牧民の栗原広之夫妻らモンゴル人協力者によるモンゴル料理、モンゴル音楽、福島達大氏らによるゲル(樋口直正さん提供)の組み立て、モンゴルドキュメンタリー映像を上映するなどして、モンゴル文化を楽しんでいただこうという企画。

    地元愛川町のさまざまな食材、文化を体験する催しの中でもメーンイベントの一つとして大盛り上がりで、子供たちの中にはモンゴル相撲に参加したり、ゲルの前で子供用のモンゴル衣裳を着て記念写真をとり楽しそうにしていました。

    ハリフさんの馬頭琴の演奏やモンゴル版相撲甚句の紹介は、周りを取り囲んだ人たちからたくさんの拍手をいただきました。

    催しの中心となったモンゴル相撲は、トーナメント方式で決勝戦までの相撲をバーボルドさんが解説しながら進行し、汗をびっしょり掻きながら組み合う、土俵の無いモンゴル相撲の真剣勝負に感動、勝者が一人決まるごとに拍手を送り、CDのモンゴル音楽も会場の雰囲気を盛り上げました。優勝はダンバ、準優勝はホヤガーさんでした。

    また野外のモンゴル相撲と平行して、ロッジの中で上映されたドキュメンタリー映画「学校に行きたい」は、ゴビ砂漠でヤギを放牧する母子家庭の子供の心の叫びに涙する人が多く、映像製作者のアロハンさんとの質疑応答では、感動で絶句しながらこの状況をどうしたらいいかと質問するモンゴル人学生にしーんとする場面もありました。

    会場準備から、モンゴル料理の販売、宣伝、カンパとそれぞれ分担して助けていただいた、薄信子さん、浅見摩紀さん、坂田安里さん、地元西部地域まちづくり実行委員会のボランティアを含め、「愛川サライ」の多くのスタッフ、テレビ、ガスコンロ、ガスボンベなどを提供していただいた繊維産業会、モンゴル相撲の決勝賞金をカンパしていただいた八木一郎さんや相原静夫さん、差し入れをいただいた小島総一郎町議会議員、半原小学校長を紹介いただいた渡辺基町会議員など多くの方から援助いただきました。

    愛川町のシルクロードのまちづくりの第一歩と考えています。来年春には、アジアシルクロードフェスティバルを愛川町文化会館で実現したいという希望を持っています。ご支援よろしくお願いいたします。(大野遼)


●気になるユーラシア短信Ⅰ

ロシア依存脱却へ―ロシアのエネルギー専門誌「ロスエネルギー」編集長ミハイル・クルチーヒン【モスクワ=大木俊治(聞き手)】

    中央アジアはかって経済的にロシアに大きく依存していたが、資源を武器に輸出先の多様化を進めるなど自立を強めている。欧州や中国の進出で、この地域でのロシアの立場は以前に比べて弱くなっている。

    例えばロシアとカザフスタン、トルクメニスタンは07年、天然ガスのロシア向け輸送量強化のため既存のカスピ海沿岸パイプラインを改修し、併せて新線も建設することで合意したが、この計画は全く進んでいない。実現にはトルクメン国内を横断するパイプライン建設が必要で、同国はロシア政府系天然ガス企業「ガスプロム」に費用負担を求めているが、財政難の同社が応じていないためだ。

    一方でこの横断パイプライン建設にドイツやオーストラリアの企業が協力を申し出ている。トルクメンは条件で双方と駆け引きしている。

    ロシアは4月、パイプライン事故の原因を巡りトルクメンと対立し、ガス輸入を停止したが、トルクメンは中国やイランへの輸出でしのぎ、強気の姿勢を崩していない。

    カザフはウランという武器を持つ。ロシアは今後の原発増設のため、カザフからの輸入に頼らざるを得ない。カザフの石油部門には欧米だけでなく中国の企業が進出。協力相手の多様化が進む。

    ガスプロムなどロシアのエネルギー企業は「外交の武器」と言われるが、実際は外交政策を利用しながら目先の利害で動いている場合が多い。しかも経済危機による資金不足や経営の非効率で競争力は低い。中央アジアは欧州、中国以外にもイランやトルコなどさまざまな取引相手があり、ロシアとの間でも当面は有利な駆け引きを続けるだろう。((2009年11月13日毎日新聞)


●気になるユーラシア短信Ⅱ

中国と中央アジア五カ国の貿易額が激増

    2009年ASEM経済フォーラムによりますと、中国とカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタンら中央アジア五ヶ国との外交関係樹立以来、中国とこれら国々との経済協力と貿易は大きく発展し、貿易額は元の50倍近くに達しています。

    1992年.中国とこれら五ヶ国との貿易額は僅か5億ドルあまりでしたが、2008年にはその50倍近くの252億ドルに達しました。

    なお、2007年末までに、中国のこれら五ヶ国への投資額は86億ドルに達し、それは資源、機械、自動車と農業など多くに分野に及んでいます。(中国国際放送局11月17日)


編集後記:トルクメニスタンの天然ガス資源にEUが猛アタック中だと最近聞いたばかり。短信など見ているとアフガニスタンにアメリカが強い興味を持つ理由もわかる。烏孫の昔から中央アジアはアジアのパワーポリティクスの草刈場だった。ここで護国と現世利益の神々が誕生したのもうなづける。人類がアジアに文明を誕生させて三千年。そろそろ、地下の魔物にそそのかされない、太陽と水を大切にする循環型社会への共同のテーブルができないかと思うこの頃です。それは「東アジア共同体」ではない。(お)


発行:特定非営利活動法人ユーラシアンクラブ 発行人:大野遼 住所:〒151-0053東京都渋谷区代々木2-13-2 第一広田ビルTEL:03-5371-5548 FAX:046-285-4895 E-MAIL:paf02266@nifty.ne.jp ホームペイジ:http://eurasianclub.cocolog-nifty.com/ 郵便振替:00190-7-87777ユーラシアンクラブ。お振り込の場合:ゆうちょ銀行0一九店 当座預金 0087777 ユーラシアンクラブ 会費、ご寄付はこちらへお願い致します。ご連絡はメールかファックスを希望します。
2009 12 01 Non Profit Organization Eurasian Club

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